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エステコラム“ハート&ソウル”玲子プロフィール

Vol.57 - 腹になにか感じる! -
 

(メルロポンティ「知覚の現象学」著書の中から・・・)
身体はただのものではない。感受し、感覚するものである。

「腹に何か感じる」

患者さん自身が「身体はただのものではない」と認識しているからこそ「ただのもののようになってしまっている」と、自身の身体の不自由さを感じた時、嘆き悲しみ悲観をする。
だが何かのきっかけで身体を感受し感覚したとき患者さんは「自身の身体はただのものではない」と認識をする。
身体に触れる行為とは知覚を通して実感を与える行為なのかもしれない。
緩和ケア病棟入院日数ままならない60代男性患者と接しそう思った。
悲観・拒否が多く「どうせ死ぬから」が口癖の患者さんで、初回は施術者を斜めに疑心の目で見上げる格好からのスタートとなった。
施術を通してではあるが、一見わがままに聞こえる事をそのまま受け入れ行った。
その出来事の中で重要だと思えた事は、施術を行っている箇所である足に彼の知覚があったのではなく、彼の深部の知覚から「動いている。血を感じる。腹に何かを感じる。」と自身の「生」を実感し、オオ・・・のようなウオ・・・のような言葉にならない声で思わず歓喜出来たことである。
ものではない。知覚を通し現象を感受しその事で生を実感できるからこそ自身なのである。
それをメルロ=ポンティは現象的身体と呼ぶのであれば、人はこの現象的身体を感受した時、その後何が起こるのだろうか。
今回この男性患者さんがその状態だったとするならば、その結果は行動の変化が現れたという事。
2回目に訪れた際患者さんは、悲観もほぼなくリハビリに励むようになっていた。3回目に訪れた際は以前より痩せていたが、自主的に歩行器を使用しレクレーションにも笑顔で参加するようになっていた。
そして毎回私との関係においては「生」の知覚と実感を求めた。
そして「どうせ死ぬから」という言葉はなくなっていた。
患者さんの言葉に「足が一番ききよる。ここら辺(腹部に手を置き)に感じる。」と毎回施術とともに感受し発する言葉が彼にはある。
彼の世界がスピリチュアルペインに苛まれ、彼が感じていた世界に地平が見出せなかった時間は、彼にとって彼の身体はただのもののように感じてしまっていたのかもしれない。
だが身体はただのものではない。と感受や感覚から地平を感じる事がきっかけによって出来た時、人はそのきっかけを「私が私の世界に対し見る視点を持ち、世界に対し立つ事が出来るとする視点を含む」力を持つのかもしれない。
キュアでもありケアであるという視点を含んだセラピストの手と感性は、患者の身体と患者の世界のあいだで一種独特の関係で繋がっている物体である。
触れられること。それは一方的な行為ではなく、こちらも相手に触れている行為でもある。
知覚を通し、他者の存在を実感し、他者から存在を与えられる行為でもある。

無意味から意味の回復に繋がる行為。私は大切な行為だと思っている。




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